書籍:「富士山の噴火」万葉集から現代まで
五反田のBOOKOFFで、正月三が日は20%オフでしたので、妻と大人買いをした内の一冊。
現在の富士山は噴煙を全く上げていませんが、竹取物語にあるように、過去には静かに噴煙を上げていた時期があったはずです。
しかし、静かに噴煙を上げている時期については、意外なほど研究されておらず、火山学の先生でも答えられない状況というのが、筆者の弁。
確かに、地球科学好きな私も、静かに噴煙を上げていた時期については、漠然と、江戸時代頃には、もう噴煙は上げてなかったんじゃ?ぐらいの印象しかありません。
そこで筆者は、和歌、紀行文なと古典に目をむけ、それらに富士山の噴煙を上げる様子が、詠まれたり記録されてないか調査研究を始めたそうです。
それが産経新聞の静岡支局の目にとまり、地方紙に連載されるようになり、それをまとめたものが、この本となります。
今まで明らかになっていなかった富士山が噴煙を上げている時期が、文学作品から明らかにされていくという意外さは、なかなか面白く、どんどん読み進めてしまった。
また、偽書とされる富士山麓に伝わる宮下文書にも目を向け、嘘を信じさせるには、当時の真実(言い伝えや記録)を踏襲する努力が行われたはずだとし、どの文献にも残っていない富士文化圏の神々の伝承が見出せるのでは無いかという提案は、目から鱗でした。
確かに、古事記からも、神話でしかないとされていた出雲の国譲りが、出雲地方から大量の銅剣、銅矛、銅鐸が発掘され、この神話が史実であった事が裏付けられた事がありました。
この本は1992年発行ですが、24年経っても内容は色あせていません。
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