消費税の軽減税率について前から疑問に思っている事があります。
たとえば、消費税が5%から10%になったときに啓善税率が導入されたとしましょう。
軽減税率で5%据え置きの商品があったとして、その価格はどうなるのか?
お店の消費税の計算は、こんな感じでしょう。
軽減税率無し
(仕入れ価格+付加価値)×10%=消費税
軽減税率有り
(仕入れ価格+付加価値)×5%=消費税
仕入れ価格自体にも消費税がかかっているので、
問屋には、以下の計算で消費税を払っていることになります。
仕入れ価格×10% or 5%=消費税
仕入れ価格の消費税率と商品の消費税率が同じであれば、
商店が問屋に支払う消費税
仕入れ価格×10%=消費税1
消費者が商店に支払う消費税
(仕入れ価格+付加価値)×10%=消費税2
この商店が支払う消費税の式を展開すると、
仕入れ価格×10%+付加価値×10%=消費税2
となり、仕入れ価格の消費税がそのまま、商品の消費税に含まれています。
商店主の消費税納税額は、仕入れで払った消費税分を引いた額を納税するので、過不足無く納税できます。
納税額の計算式は以下です。
納税額 = 消費税2-消費税1
これを上記消費税計算の式で展開すると、
納税額 = 仕入れ価格×10%+付加価値×10%-仕入れ価格×10%
= 付加価値×10%
見事、お店の付加価値分のみの納税となります。
仕入れ価格の消費税が5%で、商品の消費税が5%の場合も
商店が問屋に支払う消費税
仕入れ価格×5%=消費税1
消費者が商店に支払う消費税
仕入れ価格×10%+付加価値×10%=消費税2
この場合の納税額は、
納税額 = 仕入れ価格×10%+付加価値×10%-仕入れ価格×5%
= 仕入れ価格×5% +付加価値×10%
となり、ちゃんと仕入れ価格の消費税率差分も納税される事になります。
さて、仕入れ価格の消費税が10%で、商品の消費税が5%の場合も考えると、
商店が問屋に支払う消費税
仕入れ価格×10%=消費税1
消費者が商店に支払う消費税
仕入れ価格×5%+付加価値×5%=消費税2
そして、納税額は、
納税額 = 消費税2-消費税1
= 仕入れ価格×5%+付加価値×5%-仕入れ価格×10%
= 付加価値×5% - 仕入れ価格×5%
となります。
すると付加価値の金額次第で、納税額は以下のように変化します。
付加価値>仕入れ価格であれば、納税額はプラス。
付加価値=仕入れ価格であれば、納税額0。
付加価値<仕入れ価格の場合、納税額がマイナス。
納税額がマイナスということは、税務署からお金をいただく事になります。
これって、輸出戻し税と同じ理屈ですね。
それも国内の取引だけで生じる。面白いですね。
(しかし、まぁ、面倒な税制だ。所得税法人税一本でよくないか?)
ということで、理屈上は、軽減税率5%の商品の値段は変わらないし、商店にリスクも生じない事になりますね。
よく言われる、消費税分が価格に転嫁できない、転嫁させてもらえない場面。
それをこれからよく考えてみたいと思います。
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